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お祖母さんがあたしの服を自分の服にピンで留めたとき  /  言事堂

When my grandmother pinned my dress to her dress  /  books cotocoto

 ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に、Dublethink(二重思考)という概念が登場する。「相反し合う二つの意見を同時に持ち、それが矛盾し合うのを承知しながら双方ともに信奉すること(『1984年』から)」は連綿と続く権力者の操作により、精神や思考、個人の経験や事実までも支配されてしまう。やがて人は精神の中に相矛盾する二つの信条を受け入れる能力を持たされるまでに至る。

 フョードル・ドストエフスキーの小説『白痴』にある一節を抜粋した、「お祖母さんがあたしの服を自分の服にピンで留めたとき」は目が不自由になる祖母が孫娘の行動を制限するために、祖母の服と孫娘の服とをいくつものピンを使い留めてしまう。

 小説からの多様な世界観を内包しながら、人からの支配、拘束などを見つめた。破壊と再生を繰り返し均衡を得ようとしている現実を、映像や彫刻、絵画を通して表現している。

「​doublethink」

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